親の高い等級を子供に引き継いで保険料を大幅に安くする方法
自動車保険料は契約内容や等級など様々な条件によって支払保険料に違いが生じますが、自動車運転免許を取得したばかりのドライバーを補償対象とした場合、保険料は基本的に「高額」です。
これは、初心者ドライバーの自動車運転歴が浅いために交通事故を起こすリスクが高いと判断されるためです。
とは言え、保険料が高いからといって自動車保険に加入していない状態で運転を行うリスクが高いのは言うまでもなく明らかです。
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今回はこのような事情を解決するための方法を分かりやすくご紹介していきたいと思います。
目次
「等級」は保険料に大きく影響
冒頭でもご紹介致しました様に、初心者ドライバーを補償対象とした自動車保険料は高額です。
この保険料を安くするためには原則として「等級」を上げていく他、自動車保険を利用しない事が主として挙げられます。
この等級とは分かりやすく説明するといわば「ドライバーランク」の事であり、大きな特徴として自動車保険を使わなければ「1年に1等級ずつアップ」自動車保険を使った場合は「3等級ダウン」もしくは「1等級ダウン」 といった仕組みになっています。
この等級は1等級から20等級までの20段階あり、初心者ドライバーの場合「6等級」からのスタートとなる点も重要なポイントです。
単純計算になりますが、18歳で自動車運転免許を取得して最高等級の20等級になるまでは15年もかかる計算になります。
解決策は等級の引継ぎ!これに尽きる
前項では最高等級である20等級になるまで単純計算で15年もかかる事をご紹介致しました。
自動車保険を毎年使わない状態で年月が経過したとしても、保険料が高額すぎるために短期・中期的に負担する自動車保険料はどうしても重くのしかかってしまいます。
そこで、この大きな保険料負担を解決するための方法が「等級の引継ぎ」です。等級の引継ぎとは両親が交通事故を起こさずに長年培ってきた等級(信用)を承継する(もらう事)を言います。
正確には、親の自動車保険の契約者または記名被保険者(おもにその車を運転する人)を子供に変更することで、等級もそのまま引き継がせる、というしくみです。
ただし、等級を譲った親も引き続き車を運転する場合は、新たに自動車保険に入り直さなくてはいけません。
この結果、両親は初心者ドライバーと同様の6等級、子は最高等級の20等級といった逆転現象が起こります。読者の皆様の中には「ただ親と子の等級が逆になっただけでは?」と感じている方もおられると思います。
そこで、次項では、実際に逆転現象が起こった場合と起こらない場合の保険料にどの程度の差が生じるのかご紹介していきます。
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等級の引継ぎで保険料はどれぐらい変わるのか?
以下の表は等級を引き継いだ場合と引き継がない場合のイメージ表になります。ここでは各種条件を設定せず、等級の引継ぎを行った場合と行わなかった場合のみで表しております。
等級の引継ぎを行わなかった場合のイメージ表
父親 20等級 | 子 6等級 | |
---|---|---|
年間支払保険料 | 40,000円 | 190,000円 |
合計 | 230,000円 |
等級の引継ぎを行った場合のイメージ表
父親 6等級 | 子 20等級 | |
---|---|---|
年間支払保険料 | 60,000円 | 90,000円 |
合計 | 150,000円 |
上記表を見ると等級の引継ぎを行った事で年間支払保険料に8万円もの差が付いているのが分かります。
父親の負担増は2万円、子の負担減は10万円となり、等級の引継ぎを行った方が引継ぎを行わない場合に比べ家族全体の支払保険料が得であると判断されます。
たったこれだけの事でなぜこのような差が起こるのか?次項では考えられる理由について解説していきます。
なぜ等級を引き継いだ方が保険料が安くなるのか?
1.無事故・無違反によるゴールド免許割引効果
多くの損害保険会社ではゴールド免許所持者に対して自動車保険料の割引を行っております。極端な保険料の割引は見込めませんが、グリーンやブルー免許に比べて支払保険料が少なくて済む事が考えられます。
そのため、ゴールド免許をもっている親は保険の等級が下がったとしても、ある程度の割引を受けられるのです。
2.補償年齢のちがい
自動車保険には、等級のほかに「年齢条件」もあり、運転者の年齢によって保険料が変わります。
自動車保険の年齢条件には「全年齢補償(年齢制限なし)」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「30歳以上補償」「35歳以上補償」などがありますが、このうちもっとも保険料が高いのは「全年齢補償」の場合です。これに設定すると、運転者が未成年であっても高齢者であっても補償を受けられますが、そのぶん保険料は高くなってしまいます。
今回の例でいうと、息子は未成年ですから、年齢条件は「全年齢補償」にするしかありません。つまり、息子が等級引き継ぎをせずに保険に入ると、「6等級スタート」「年齢制限なし」というダブルパンチで保険料が高額になってしまうのです。
一方、父親は等級が下がっても「35歳以上補償」に設定することで、保険料を安く抑えられます。これが、等級引き継ぎによって保険料を節約できる最大の理由です。
このように、子供の年齢が若い場合はそのまま自動車保険に入るよりも、親の等級を引き継がせてもらったほうが保険料はぐっと安くなります。
親の保険料は少し上がってしまいますが、それでも子供が6等級からスタートする場合に比べるとずいぶん安いですし、家計全体の支出を考えれば圧倒的にお得です。
親子間の等級引き継ぎでもっと保険料を安くするコツ
等級引き継ぎでさらに保険料を安くするための方法をいくつかご紹介します。
セカンドカー割引を利用する
親子が同居している場合は、等級引き継ぎに加えてセカンドカー割引も利用できます。
セカンドカー割引(複数所有新規契約)とは、自動車保険に新規加入する2台目の車が安くなるシステムです。適用されると、通常は6等級からスタートする保険が7等級からのスタートになり、そのぶん保険料が安く済みます。
セカンドカー割引を利用するためには、「1台目の車が11等級以上であること」「1台目も2台目も自家用8車種であること」などのいくつかの条件を満たす必要があります。
また、2台目の車の記名被保険者(おもに運転する人)は、1台目の記名被保険者と同居していることが条件となっていますので、家族が別居している場合はセカンドカー割引が適用されません。
上でご紹介した例でいうと、まず親が現在の車から子供用の車に車両入替の手続きをして、子供に等級を引き継がせます(1台目)。続いて、親も自分の車で新たに自動車保険に加入します(2台目)。セカンドカー割引は保険会社共通の制度のため、1台目と2台目が別の保険会社に加入しても問題ありません。
こうしてセカンドカー割引が適用されれば、父親は6等級ではなく7等級からスタートできます。
車両保険はなるべくつけない
車両保険は自分の自動車を修理するために必要な保険です。相手との交通事故などで自分の自動車を修理しなければならなくなった場合、その事故相手から修理費用が補償されますが足りない場合も十分考えられます。
また、単独で事故を起こして修理する場合には車両保険に加入していなければ原則として補償されません。このように幅広い補償が認められる車両保険ですが、付帯するかしないかで支払保険料は大きく異なります。
そこで、ただでさえ高くなりがちな子供の自動車保険には車両保険をつけない、という選択をすることで、保険料を抑えることが可能です。とくに免許とりたての場合、どうしても事故を起こすリスクも高くなりますから、最初は中古の軽自動車などを購入して保険料を安くすることをおすすめします。
ちなみに、保険料は車の種類によっても異なるため(車両料率クラス)、その意味でも軽自動車やコンパクトカーなどのリーズナブルな車を選びたいところです。
等級の引き継ぎは親子が別居しているとできない!
自動車保険の等級引き継ぎは、実は親子なら必ずできるわけではありません。
等級を引き継げる相手は、以下の3パターンに限られています。
①記名被保険者の配偶者
②記名被保険者の同居親族
③記名被保険者の配偶者の同居親族
記名被保険者とは、保険の契約車両をもっとも頻繁に運転する人のことですが、父親の車の場合は父親本人になっていることが多いと思います。
その場合、等級を引き継げる相手は父親の配偶者、つまり子供にとっては母親と、同居している子供や祖父母などが主です。
つまり、父親と子供が別居している場合は、父親の等級を子供に引き継がせることはできません。
もしこれから進学や就職などで子供が家を出ることが決まっているのなら、まだ同居している間に等級引き継ぎを行なうのがもっとも確実です。その場合、方法は大きく分けて2つあります。
同居中に子供用の車を買う場合
同居している間に子供用の車を購入する場合は、自動車保険の契約車両を変更する「車両入替」と同時に自動車保険の名義変更(記名被保険者の変更)を行なって、子供に等級を引き継がせます。
別居後に子供用の車を買う場合
別居後に子供用の車を購入する場合は、まず同居している間に自動車保険の名義を子供に変更して等級を引き継がせる必要があります。
そして別居後に車を買ってから車両入替の手続きをすればOKです。
ちなみに、「子供が家を出る前に等級を引き継ぐのはいいとして、その後すぐに別居しても問題はないのか?」と不安になる方もいると思いますが、とくに問題ありません。
保険料を安くするためにも、等級引き継ぎは親子が同居している間に行ないましょう。
別居していても等級を引き継ぐ裏ワザとは?
すでに親子が別居している場合、原則として等級の引き継ぎはできませんが、別居してから子供が免許をとるようなケースもあるでしょう。
その場合、裏ワザになりますが「一時的に母親と子供が同居する」という方法があります。
これは、等級を引き継げる相手の中に「記名被保険者の配偶者の同居親族」が入っているためです。つまり、父親の配偶者(子供にとっては母親)と子供が同居していれば、等級を引き継げるということになります。
逆に、子供が一時的に実家に住まいを移すという方法もありますが、何かと不便な場合が多いと思いますので、事情が許すなら母親に動いてもらったほうがいいでしょう。
基本的に保険会社は住民票の状況ではなく、同居の実態で判断しますので、一時的にでも母親が子供のもとへ行って同居している事実をつくれば、「記名被保険者の配偶者の同居親族」として父親の自動車保険を譲渡してもらえる可能性があります。
ただし、別居を始めたばかりであれば、保険会社によっては救済措置を用意していることもあります。記名被保険者の名義変更忘れは、およそ3ヶ月以内であれば特別に認めてもらえることも多いため、まだ子供が引っ越して間もない場合は正直に保険会社に相談してみることをおすすめします。
まとめ
親子間での自動車保険の等級引き継ぎについてくわしくご紹介しました。
免許とりたての子供は、まだ年齢が若い上に低い等級からのスタートとなるため、保険料はかなり高額です。車両保険の有無にもよりますが、年間20万円ちかくかかることも少なくありませんので、親の等級を引き継げるならそれに越したことはありません。
親の等級は下がってしまうものの、家計をトータルでみれば圧倒的に安くなります。
ただし、等級の引き継ぎには「同居」という最大のルールがあるため、子供が家を出る前に保険の名義変更をすることが大切です。
また、そもそもの保険料は保険会社によって異なりますので、とくに一家で2台所有する場合はじっくり比較検討して、できるだけ安く入れる保険を探してみてください。
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