搭乗者傷害保険と人身傷害保険の違いをわかりやすく解説!
搭乗者傷害保険と人身傷害保険はどちらも車に乗っている人への補償で似ているせいか、その違いをきちんと理解できている方はあまりいません。
それぞれの違いを保険金の支払い方法・補償の範囲・保険金の支払い時期に分けてわかりやすく解説しております!
搭乗者傷害保険と人身傷害保険の違い
自動車保険の補償内容を選ぶ際によく迷うのが、「搭乗者傷害保険」と「人身傷害保険」です。これら2つの保険はどちらも車に乗っている人への補償となり非常に似通っているので、その違いがわかりにくいです。
それぞれどうのように違うのか、わかりやすいように表にしてまとめてみましたのでご覧ください。
項目 | 搭乗者傷害保険 | 人身傷害保険 |
---|---|---|
対象 | 車に乗っている人の死亡やケガに対する補償(運転者・同乗者含む) | |
保険の支払い方法 | 定額払い | 実損(実費)払い ※過失割合に関係なく |
補償の範囲 | 死亡、ケガの部位や程度による「部位症状別払い」 | 死亡、ケガの治療費や入院費用、仕事ができない期間の休業損害、看護料、葬祭費用、精神的損害までも補償 |
保険金の支払い時期 | 即時 | 後払い |
まず搭乗者傷害保険と人身傷害保険の最大の違いが、保険金が「定額払い」か「実損払い」であるかということです。
搭乗者傷害保険はケガの部位や程度によってあらかじめ決められた保険金が支払われます。(参考:搭乗者傷害保険の保険金支払例(部位・症状別))対して人身傷害保険は定額ではなく、実際にかかった費用(実費)がすべて支払われます。
例えば示談がなかなかまとまらない場合、相手の保険から自分のケガへの補償がされるまでの期間が長引く場合がありますが、人身傷害保険に加入しておけば相手の支払いを待たずして過失割合に関係なく治療費が全額支払われます。搭乗者傷害保険でも支払われますが定額ですので、超える部分については自分で支払う必要があります。
次に補償の範囲についてです。搭乗者傷害保険は死亡又はケガの部位症状別に保険金が支払われますが、人身傷害保険は死亡やケガだけでなく、仕事ができない期間の休業損害、看護料、葬祭費用、精神的損害(慰謝料)までをも補償されます。
特に休業損害では、個人事業主やフリーランスの方は治療のため仕事ができない期間の補償が受けられるということは大きなメリットです。
最後に保険金の支払い時期についてです。、搭乗者傷害保険はケガの部位や程度による「部位症状別払い」ですので、診断が確定した時点で即時保険金が支払われます。対して人身傷害保険は実損払いですので、病院を退院するまでに最終的にかかった治療費が確定してから保険金が支払われますので後払いになります。
以上の通り、搭乗者傷害保険と人身傷害保険では人身傷害保険の方がより手厚い補償が受けられるということがわかります。
搭乗者傷害保険と人身傷害保険のどちらをつければよいか?
それでは実際に自動車保険の補償内容を選ぶ際は、搭乗者傷害保険と人身傷害保険のどちらを優先してつければよいのでしょうか?下表で両方を付けた場合と、どちらか一方のみを付けた場合の保険金の支払例をまとめていますのでご覧くださいませ。
例)契約者は搭乗者傷害保険1000万円、人身傷害保険5000万円に加入。過失割合は50%対50%、事故による契約者の損害額を1億円とした場合の保険金支払例
搭乗者傷害保険と人身傷害保険の両方加入 | 搭乗者傷害保険のみ加入 | 人身傷害保険のみ加入 | |
---|---|---|---|
相手方の対人賠償保険から | 5000万円 | 5000万円 | 5000万円 |
搭乗者傷害保険から | 1000万円 | 1000万円 | - |
人身傷害保険から | 5000万円 | - | 5000万円 |
合計保険金額 | 1億1000万円 | 6000万円 | 1億円 |
以上のとおり搭乗者傷害保険と人身傷害保険の保険金は別々に支払われますので、両方に加入している場合は両方から設定している上限金額までが支払われます。搭乗者傷害保険のみに加入している場合は搭乗者傷害保険から。人身傷害保険のみに加入している場合は人身傷害保険から支払われます。
やはり両方ともに加入しておいた方が支払われる保険金も最も大きくなります。搭乗者傷害保険のみが最も少額で、人身傷害保険がその間となります。
ここでどういった補償内容にするかですが、まずはどちらか一方は絶対につけておいた方がいいです!相手からの補償がない又は不十分な場合、自分への補償がなくなってしまうからです。そのため搭乗者傷害保険か人身傷害保険のどちらか一方は必ずつけておきましょう!
さらにどちらか一方にする場合は、 絶対に人身傷害保険の方がいいです!搭乗者傷害保険は設定できる上限金額が少ないですし、定額払いですから治療費を保険金で賄うことができないケースが多いからです。人身傷害保険に加入しておけば、ひとまず自分への補償は確保できます。
私も搭乗者傷害保険はつけずに人身傷害保険のみに加入していますが、こうすれば年間の保険料を抑えつつ十分な補償が受けられます。
保険料は高くなってもいいから自分への補償は最も手厚くしたいという方は、搭乗者傷害保険と人身傷害保険の両方ともに加入しておけばいいと思います。
ちなみに他の医療保険や生命保険に別途加入していてそちらから十分な補償が受けられる場合は、搭乗者傷害保険や人身傷害保険に加入する必要はありません。
もちろん万一の事故の際は医療保険や生命保険の加入の有無にかかわらず搭乗者傷害保険や人身傷害保険からも保険金は支払われますが、保険料が上がりますのでよく検討してから選択しましょう!