任意保険に未加入で事故!賠償義務と罰則への影響
執筆者 | |
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ファイナンシャルプランナー:須藤 公保 |
車の運転をして交通事故を起こした場合、ドライバーは、過失責任の割合に伴う賠償義務が発生します。(参考:過失割合)
自動車保険の有無にかかわらず、物損・人身の事故を起こせば、損害賠償の債務責任を負うことになります。
自動車には、自賠責保険と任意保険の2つの保険があり、それぞれ必要な補償です。自賠責保険は、強制保険のため無保険での走行を禁じられており、刑事罰を伴う罰則があります。
しかし、任意保険は未加入で走行することを禁じていないので、付保しないで走っている車もあります。ここでは、自動車保険の未加入時の賠償義務と罰則、その影響について解説します。
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1.任意保険に未加入でも罰則はない?
交通違反や刑事処分のおとがめ無し!
任意保険契約がなくても未加入による走行に何ら違法性はなく、未加入による車の利用に対する罰則はありません。
任意保険加入率を見ると自動車共済と合わせた加入率が85%を超え、残りの約15%が未加入と見られています。法的な罰則がないのに加入率が高いのはなぜでしょう?
その理由は、交通事故を起こした時に発生する賠償責任に伴う支払い義務があり、多額の賠償金を支払う必要に迫られるからです。
また、死傷をともなう人身事故の裁判では、賠償金の支払いが示談の鍵となり、被害者への誠実な対応が事故への反省を表す行動のひとつになります。賠償金の支払いや示談を得るためには、任意保険を用意しておくことが必須ということになるからです。
従って任意保険の未加入により刑事処分の対象となる罰則規定はありませんが、賠償義務を果たせない場合、刑事裁判の判決に対して少なからず影響を及ぼすことになります。
マイカー通勤者必見!未加入による会社の罰則に注意
マイカーで通勤を許可されている場合、会社には「マイカー通勤規定」などのルールが設けられています。
規定では、任意保険への加入が必須となっており、未加入で事故を起こした場合の罰則も定義されていることがあります。重い罰則では、懲戒解雇に繋がるものもあるため注意が必要です。
交通機関が少ない地域では、マイカー通勤が定常化していることもあり、あたりまえのことと軽視されがちですが、任意保険への加入が必ず規定されているので注意しましょう。
2. 自賠責保険切れで前科者に!保険切れは刑事処分になる
車検切れに注意!自賠責保険切れと合わせて12点減点!
自賠責保険は、四輪自動車・250cc超の自動二輪車の車検期間をカバーして付保するので、原則として「車検有効=自賠責保険あり」となります。
車検のある自動車・二輪車では、車検時に自賠責保険に加入するので、常識で考えれば「無保険車」がいないはずです。(新車は新規登録時)自賠責保険は強制保険ですから、交通違反の中でも重い罰則があり、刑事罰の対象になります。
無保険と同時に車検切れの交通違反も刑事罰の対象になるため、違反が重なると免許点数の失点は、12点(6点+6点)となり、免許停止日数も90日間となります。なにより、刑事処分の対象となり「前科者」になってしまうことも覚えておきましょう。
要注意!車検のない250cc以下のバイクの自賠責保険
自賠責保険は、車検の有る四輪自動車や250ccを超える自動二輪だけに課せられた強制保険ではありません。 「原付バイク」を含む250cc以下の二輪車には車検がありませんが自賠責保険への加入は義務付けられています。
車検がないので、うっかり失効により保険を切らしてしまい、無保険運行となる場合があり注意が必要です。車検のないバイクなどによる無保険車の事故も、少なからず発生しており自賠責保険のみならず、任意保険への加入も必須と心得ましょう。
表1:自賠責保険の加入義務
車検の有無 | 自賠責保険の加入義務 | 無保険の罰則 | |
---|---|---|---|
自動車・自動二輪車(250cc超) | 有 | 有 | 有 |
250cc以下のバイク等 | 無 | 有 | 有 |
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3.任意未加入時に起きた事故の賠償義務と影響
保険未加入でも賠償責任の支払い義務がある
交通事故の加害者には、任意保険の加入の有無にかかわらず、民事事件の被害者に対し賠償責任が生じます。
損害賠償には、ガードレールにこするなど物損事故に伴う小さな損害から、死亡や後遺障害に伴う人身事故の大きな損害に至るまで、様々なケースが有ります。
そのどれもが、保険加入がなくとも支払い義務をともなうため、一度事故を起こしてしまうと、その支払い義務により加害者の生活そのものにも大きく影響します。
万一の事故による損害賠償の支払い義務からドライバー自身の社会生活を守るためにも、任意保険への加入は、必要不可欠と考えましょう。
たとえ50ccの原付バイクでも侮ることなく、しっかりと付保することが重要です。
125cc以下のバイクなら、自家用車の任意保険に入っている人は、任意保険のファミリーバイク特約が便利です。
刑事処分に間接的に保険加入の有無が影響する?
先の説明の通り、任意保険に未加入でも刑事罰の対象となる罰則はありません。
しかし重大な過失を伴う人身事故などの刑事裁判において、任意保険加入の有無が判決にまで微妙に影響することがあります。
任意保険に加入していれば、被害者への適切な補償対応がなされ、被害者から「加害者に対する重い刑事処罰を望まない」などの申告に繋がり、起訴や刑事処分にも多大な影響を及ぼすからです。
もちろん任意保険に入っていれば示談もまとまりやすく、交渉そのものは保険会社に委ねることができます。
保険からの支払いにより、被害者への賠償責任義務を滞りなく果たすことが可能になり、刑事罰を軽減する可能性にもつながってくるのです。
4.保険未加入の罰則と影響のまとめ
保険未加入の種類と罰則などをまとめましたので、もう一度確認してみましょう。
表2:保険未加入による罰則等
刑事処分などの罰則 | 違反点数 | |
---|---|---|
自賠責保険切れの運行 | 1年以下の懲役、または50万円以下の罰金 | 6点 |
任意保険の未加入 | 刑事処分なし、マイカー通勤規定による懲戒など | - |
※自動車総合安全情報のサイト「罰則により罰せられます」等を参考に編集
自賠責保険切れの運行は、交通事故の有無にかかわらず刑事処分の対象となり、反則切符と反則金で免れることはなく、とても重い罰則になっています。
「たかが交通違反と侮ることなかれ!」刑事処分を受けるということは、前科者のレッテルが貼られたことになり、人生においても非常にマイナスとなります。
例えば、大学在学中に通学で乗っていたバイクの自賠責保険切れでも、刑事処分を受ければ前科者となり、就活において大きなハンディキャップとなります。
任意保険の未加入では、違法性を問われる罰則こそありませんが、事故を起こせば賠償義務を果たす必要が生じます。その際に支払い義務を怠れば、民事裁判などにより資産や給与を差し押さえられるなど、経済的な制裁は免れません。
社会人ならなおさら世間の風は冷たく「マイカー通勤規定」に反し任意保険未加入で運転して、事故を起こし懲戒解雇となった人は、多くの企業から採用を見送られることになり再就職すら厳しくなるかもしれません。
コンプライアンスに厳しくなった今は、「社会的制裁が最も厳しい罰則」ということになるでしょう。
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