自動車保険の解約で違約金がかかるケースと何時までに連絡すればよいか?
執筆者 | |
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ファイナンシャルプランナー:小澤 美奈子 |
自動車保険を他社に乗り換えしたけれど、保険期間の途中で解約することで「違約金が発生するのではないか?」「連絡する時間によって損したりするのではないか?」と思っている方はいらっしゃいませんか?
今回はそんな自動車保険の解約に関する疑問や不安についてお話したいと思います。
自動車保険の解約で違約金がかかるケースは?
基本的に自動車保険の解約で違約金が発生することはありませんので、ご安心ください。
ただし、分割払い契約で未払い込みの保険料がある場合などには、解約手続きと同時にその不足分が請求されることはあります。
あくまでも本来支払うべき保険料が請求されるだけなので、違約金としての保険料を徴収されることはありません。
何時までに連絡すればよいか?
「何時までに連絡しなければ解約できない」といった時間に関する厳格なルールは存在しないでしょう。
一般的な解約手続きでは、まず保険会社に連絡をし、保険会社から送られて来る書面などが最終的に保険会社で承認されることで完了となります。
また、代理店を通して加入した自動車保険の場合は、代理店の担当者に解約の申し出をすることで、同様の手続きをおこなうことができます。
損をしないための解約手順
自動車保険の解約では、違約金はかからないものの、手続きによっては損をしてしまう可能性があるのも事実。どうしたら損をせず解約ができるか、ポイント3つご紹介したいと思います。
1.他社への乗り換えは、満期まで待つ方がお得なことも
本来他社への乗り換えなどで解約を検討する場合、もし満期日が近いようでしたら、その日まで待つのが得策です。
なぜなら保険期間の途中で解約してしまうと、前述の通り保険会社との書面の手続きといった手間が発生してしまう上、本来満期まで待てばアップしたはずの等級が、途中解約によりアップするのが遅くなってしまうというデメリットが生じてしまうからです。
ただしこのような場合であっても、保険期間通算特則を利用することでデメリットを防げるケースもあります。
保険期間通算特則は、新契約の始期日を解約した契約の満期日に合わせ、かつ新契約(乗り換え後の契約)の満期日を解約した契約の満期日に合わせた短期契約を締結し、そのまま事故がない状態で満期日を迎えると、通算1年間とみなさることにより等級を1つアップさせることができるという制度です。
保険期間通算特則を使いたい場合は、制度そのものが使えるかどうかも含め、乗り換え先の保険会社に相談することをおすすめします。
2.1回払(年払)契約では解約で損になる可能性大!
1回払(年払)契約では、解約する際に、「短期率」を用いて解約返戻金の計算をする保険会社があります。
その場合は、途中解約することで結果的に損となってしまうことがあるのです。一体どういことなのでしょうか。
<短期率表>
7日まで | 15日まで | 1ヶ月まで | 2ヶ月まで | 3カ月まで | 4カ月まで | 5カ月まで |
---|---|---|---|---|---|---|
10% | 15% | 25% | 35% | 45% | 55% | 65% |
6カ月まで | 7カ月まで | 8カ月まで | 9カ月まで | 10カ月まで | 11カ月まで | 12カ月まで |
70% | 75% | 80% | 85% | 90% | 95% | 100% |
【短期率を用いた解約の計算式】
返還保険料=年間保険料-(1-既経過期間に応じた短期率)
例えば、年間12万円(1回払)の契約を6カ月時点で解約した時の返還保険料を計算すると、いくらになるでしょうか。
【上記計算式に当てはめた式】
120,000円×(1-70%)=36,000円(返還保険料)
本来6カ月経過した時点で解約すると、年間保険料の半分が戻りそうなものです。しかし上記の通り、短期率を用いた計算ではそうならないことがお判りでしょう。
つまりこの契約で解約による損を防ぐためには、満期まで待った上で他社へ乗り換えた方が良いということになります。
解約時に短期率を用いた計算をするかどうかは、保険会社ごとに異なります。加入している契約ではどのような計算方法を採用しているのか、事前に確認するようにしましょう。
3.廃車や自動車の売却などでは「中断証明書」の発行を忘れずに
車の売却や廃車、契約者の海外渡航などの理由で自動車保険を解約したい場合には、保険会社に頼んで「中断証明書」を発行してもらうようにしましょう。
中断証明書を発行すると、将来自動車を購入した際に新しい保険会社に中断証明書を提出することで、中断した日から約10年以内であれば、現在のノンフリート等級および事故有係数適用期間を引き継ぐことができます。
ただし、中断証明書の発行してもらうためには、解約日の翌日から13カ月以内に保険会社に伝える必要があります。
うっかり申請がもれてしまうと発行できなくなるため、注意が必要です。
まとめ
さて今回は、自動車保険を解約する際の違約金発生の有無を中心に、解約で損をしないための手順をご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
基本的に解約する場合の違約金や、何時までに連絡しなければならないといったルールは存在しません。
また他社へ乗り換えする場合は、保険期間の途中で解約せずに満期まで待った方が、手間も損も少なくなることが一般的です。
さらに、一時的に自動車を使用しないために保険を解約したい場合には、保険会社に中断証明書を発行してもらうこと忘れないようにしましょう。