年齢条件と自動車保険料の変化
自動車保険を更新する時期になると、事故も起こしていないのに“保険料があまり安くならないな”と感じた事がある人、案外多いと思います。
筆者もファイナンシャルプランナーという仕事をするまでは、正直同じ様に感じていた一人です。
もしできる事なら、何歳位から自動車保険料が安くなるのか知っておきたいと思いませんか?
今回は、このような疑問を解決するべく、自動車保険が安くなる年齢に重きを置きつつ、様々な保険契約との関係性について比較検証していきたいと思います。
無事故・無違反の恩恵は何歳で受けられるのか?
自動車運転免許を取得しドライバーの仲間入りを果たしてから、無事故・無違反の証であるゴールド免許を取得するまでの自動車保険料の変化について時系列で見ていきます。条件は以下の通りです。
時系列の条件
- 1.20歳で自動車運転免許を初めて取得したものとします
- 2.時系列は20歳から31歳までの11年間とします
- 3.11年間において無事故・無違反であったものとします
- 4.運転者限定は「本人のみ」とします
- 5.年齢条件は適用可能なものについては適用するものとします
- 6.ゴールド免許割引が適用可能な場合、適用するものとします
- 7.上記以外の条件については加味しないものとします
年齢と自動車保険料の推移イメージ
年齢 | 20歳 | 21歳 | 22歳 | 23歳 | 24歳 | 25歳 |
---|---|---|---|---|---|---|
免許の色 | グリーン | グリーン | グリーン | ブルー | ブルー | ブルー |
等級 | 7A等級 | 8等級 | 9等級 | 10等級 | 11等級 | 12等級 |
補償内容 | - | 21歳以上補償 | 21歳以上補償 | 21歳以上補償 | 21歳以上補償 | 21歳以上補償 |
割引 | - | - | - | - | - | - |
支払 保険料 |
106,800円 | 33,040円 | 31,960円 | 30,880円 | 29,800円 | 28,730円 |
年齢 | 26歳 | 27歳 | 28歳 | 29歳 | 30歳 | 31歳 |
---|---|---|---|---|---|---|
免許の色 | ゴールド | ゴールド | ゴールド | ゴールド | ゴールド | ゴールド |
等級 | 13等級 | 14等級 | 15等級 | 16等級 | 17等級 | 18等級 |
年齢補償 | 26歳以上補償 | 26歳以上補償 | 26歳以上補償 | 26歳以上補償 | 30歳以上補償 | 30歳以上補償 |
割引 | ゴールド免許割引 | ゴールド免許割引 | ゴールド免許割引 | ゴールド免許割引 | ゴールド免許割引 | ゴールド免許割引 |
支払 保険料 |
19,850円 | 19,470円 | 19,090円 | 18,720円 | 16,620円 | 15,940円 |
初めて自動車保険を契約する場合の支払保険料は高額
初めて自動車保険に加入した時の支払保険料に着目すると、106,800円と高額である事が分かります。これは自動車運転免許を取得したばかりの為、運転経験が浅く自動車事故を起こすリスクが高くなるなどの理由があります。
支払保険料には「公平性」が求められますのでリスクの高い人からは「多く」リスクの低い人からは「少なく」保険料が徴収される仕組みは納得できます。
翌年度に支払保険料が激減!その理由を徹底解説
21歳の支払保険料に着目すると33,040円と1年経過しただけで支払保険料が大きく激減しているのが分かります。この1年で変化した部分に着目すると「年齢」「等級」「補償内容」 の3つの項目が変化しております。
つまり、これらの内のどれかに支払保険料が激減する理由がある事になります。この理由を明確にするためには、個別に着目して見るのが最も効果的です。まずは、「年齢」と「等級」について同時に確認していきます。
21歳と22歳の支払保険料から激減理由が明らかに
同様の方法で21歳と22歳を比較して支払保険料の違いを見ていきます。すると21歳と22歳で異なる項目は「年齢」「等級」の2つである事が分かります。
両者の支払保険料は33,040円及び31,960円となっており「支払保険料が激減した」と決して言い切れるものではありません。この事から20歳~21歳の支払保険料の激減理由は、「補償内容」が大きく関係していると推測できます。
補償内容が支払保険料に大きな影響を及ぼす「裏付け」とは
25歳と26歳の支払保険料に着目して見て下さい。28,730円から19,850円に保険料が大きく下がっています。この理由も今までと同じ方法で推測する事で明らかにできます。
25歳と26歳の項目変化に着目してみると「年齢」「等級」「補償内容」「ゴールド免許割引」と4つの項目が変化しているのが分かります。前項で既に解説しました様に「年齢」と「等級」には大きな変化が生じない事が分かっておりますので、「補償内容」か「ゴールド免許割引」が原因であると推測できます。
もう1つの節目である29歳と30歳の支払保険料を比較するとゴールド免許割引が適用された状態で18,720円及び16,620円となっております。決して大きな金額とは言えないものの、「30歳以上補償」という「補償内容」が代わった事により、毎年数百円程度の減額幅から数千円程度と大きくなった事が分かります。
これらの理由から「補償内容」が支払保険料に大きな影響を及ぼす理由と言えます。
ところで自動車保険料が安くなる年齢は何歳なのか?
まず誤解の無い様に申し上げなければならない事は“年齢によって自動車保険は安くならない”といった点です。逆に高齢ドライバーなどは初心者ドライバーと同様に事故を起こすリスクが高くなりますので、支払保険料は増加するのが一般的です。
年齢を重ねると自動車保険料が安くなると思っておられる皆様がとても多いのですが、実は自動車保険料が決定される項目は「等級」「補償内容」「割引」などによって左右され「年齢」は関係ないのです。
例えば、初めて自動車運転免許を取得した年齢が40歳だったとします。この時、運転歴が10年の38歳よりも保険料が安い場合、非合理的です。一般的に考えると40歳の運転歴1年ドライバーの方が事故を起こすリスクが高い事は容易に予測できます。
だからこそ、年齢ではなく運転歴や事故歴について「等級」を付す事で自動車保険料の公平性が保たれているわけです。
まとめ
今まで勘違いしていた方も多いと思いますが、自動車保険料が安くなる年齢は存在しない事が確認できました。時系列を見ると年齢を1つずつ重ねる事によって安くなっている様に見える支払保険料は、年齢によるものではなく等級によるものだとご理解頂けたと思います。
ここに補償内容や割引を限定したり適用したりする事で更に自動車保険料に変化が生じる事も合わせてご理解できたのではないでしょうか?補償内容や割引は損害保険会社によってそれぞれ異なります。
これは自動車保険料についてもそれぞれ異なる事を意味します。自動車保険を考える上で、複数社の見積りから支払保険料や補償内容を比較検討し自分に合った保険を見つける事がやはり大切だと言えます。