60代、70代の自動車保険!高齢ドライバーが付けておくべき補償と保険料の相場

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ファイナンシャルプランナー:小澤 美奈子 |
今、高齢ドライバーによる事故が話題となっています。警視庁が発表する「高齢運転者が関与した交通事故発生状況(平成28年中)」(※)によると、都内で発生した交通事故発生件数は平成19年に6万8603件ありましたが、平成28年には3万2412件まで減少しました。
一方65歳以上の高齢運転者が関与する事故については、一転して上昇傾向にあります。
構成率で確認すると、平成19年には13.1%となっていた割合が、平成28年には22.3%まで上がっています。
今後は高齢化社会の到来とともに、高齢ドライバーはますます増えるだろうと予測できます。自動車保険の補償はどのように備えればよいのでしょうか。
高齢ドライバーにおすすめの補償と保険料の相場について解説します。
対人と対物賠償保険は「無制限」が鉄則
高齢ドライバーに多いと言われている事故に、アクセルとブレーキの踏み間違えや、逆走するといったことがあります。
個人差はあるものの、高齢になると集中力や瞬間的な判断力の低下、他にも過去の経験にとらわれる傾向にあることなどが理由として考えられます。
高齢者といえども、万が一事故を起こせば責任を問われることになるため、対人および対物賠償保険は「無制限」で設定することを鉄則としましょう。
人身傷害補償保険
被保険者(保険の対象者)が自動車事故で死傷や後遺障害を被った場合に、保険金額を限度に損害額の全額を補償してくれるのが人身傷害補償保険。
示談を待つことなく、自己の過失部分も含めて補償されることが、補償のポイントとなります。
人身傷害補償は、契約に自動的にセットされている商品と、任意で選べる商品がありますが、判断力が低下する傾向にある高齢ドライバーには、人身傷害補償の付帯をおすすめします。
なお、補償額については、3000~5000万円を目安として設定するとよいでしょう。
他車搭乗中および歩行中まで補償されるタイプがおすすめ
人身傷害補償保険は、契約する車に搭乗中のみ補償されるタイプと、他の車に搭乗中や歩行中も含めて補償する二つのタイプがあります。
高齢ドライバーの場合は、車外の事故も補償される後者のタイプを契約しておくとよいでしょう。
事故後の生活を支えるための補償も
高齢ドライバーの場合は、事故に遭った後の生活を支えるための補償を備えておくとより安心です。
保険会社によっては、人身傷害対象の事故に遭いその後の生活を支えるための補償を用意しているところもあります。
例えば、人身傷害補償保険は、事故に遭い後遺障害を被った場合には、将来の介護料も補償されることになりますが、特約を付すことで介護料がより手厚く補償される商品や、他にも、対象の事故で被保険者が傷害を被り入院した場合に、ホームヘルパーや介護ヘルパーなどを頼んだ場合の費用を補償してくれる商品などもあります。
弁護士費用特約をおすすめするワケ

通常、自動車の対人・対物賠償事故や日常生活の賠償事故(個人賠償責任特約をセットされたお客様が対象です。)が起きて被保険者が相手側から損害賠償の請求を受けた時には、保険会社が被保険者に代わって示談交渉を行うことになります。
しかし相手側に100%責任が生じる「もらい事故」が起きた場合は示談交渉の対象外となってしまうため、高齢者であっても自ら交渉する可能性が生じてしまうのです。
そんな時に役に立つのが「弁護士費用特約」。この特約を付けておけば、約款で定められた上限額の範囲内であれば、費用負担の心配がなく、弁護士に交渉を依頼することができます。高齢者は特に付帯することをおすすめします。
保険料の相場
高齢ドライバーが自動車保険に加入すると保険料が割高になると言われていますが、実際どれくらいかかるのでしょうか? A保険会社の例で確認してみましょう。
一時払保険料
年齢 | 保険料 |
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75歳 | 73,750円 |
65歳 | 53,840円 |
55歳 | 46,880円 |
45歳 | 45,770円 |
35歳 | 44,920円 |
25歳 | 72,760円 |
条件
- 対人・対物無制限、人身傷害補償(車内のみ補償型)3000万円、車両保険260万円(一般型、免責金額1回目5万円・2回目10万円)
- 等級:17等級
- 事故件数0件
- トヨタ・プリウス(初年度登録2016年1月)
- 契約距離区分9000キロ以下
- 免許証の色:ゴールド
- 年齢条件:30歳以上補償(25歳の保険料は全年齢)
上記保険料を確認する限りは、確かに年齢が高くなるに連れ保険料も上がるようです。
一方、ほぼ同様の補償内容をB社で見積もってみたところ、65歳の保険料は3万2730円、75歳の保険料は3万8950円となりました。
このように低廉な保険料を設定している会社もあるようです。自動車保険選びは、数社比較してみると保険料の違いが分かります。
「位置情報通知サービス」のある保険に加入を
位置情報通知サービスは、ロードサービスの中に含まれていることが多く、事故に遭った場合に携帯電話などのGPS機能を利用して保険会社へ情報を送信することで、保険会社側は場所を特定することができます。
事故に遭い気が動転してしまった場合でも、正確な位置情報を瞬時に伝えられるというメリットがあります。
まとめ
今回は、高齢ドライバーにおすすめの補償や保険料などについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
ご紹介したように、高齢ドライバーにおすすめする補償はいくつかありますが、大切なことは「事故に遭わない・起こさない」ことだと思います。
現在各自治体では、高齢者に運転免許証を自主的に返納する取り組みを推進しています。場合によっては、免許証の返納を検討するのも一案です。