借りた車に必要日数だけ入れる!選べる1日自動車保険
執筆者 | |
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ファイナンシャルプランナー:須藤 公保 |
1日単位で加入できる「1日型の自動車保険(以下:1日自動車保険)」は、車を所有しない人が車を借りる時に必要日数だけ入れる便利な自動車保険です。
車を持たないペーパードライバーの人が友人や親戚の車を借りて運転する時、また、事情により任意保険が効かない他人の車を運転する必要があるとき、1日自動車保険に加入しておくと安心です。
1日自動車保険を取り扱う保険会社は限られており、加入申し込みは、スマートフォン(以下:スマホ)や携帯電話からとなっています。(一部の契約を除く)
この記事では、1日自動車保険の補償の概要、取り扱い保険会社と加入方法について解説して参ります。
1.1日単位で加入できる自動車保険とは?
「友人から借りた車で事故を起こしてしまった!」
「友人の車で運転の交代をして交差点内で事故に巻き込まれた!」
「年齢条件や運転者限定のついた親の車を借りて追突事故を起こした!」
上記のような状況では、運転した車の保険が使えない場合も多々あり、運転者は、大きな賠償責任を負うことになります。
昨今は、通販による格安自動車保険の普及もあって、増加した運転者限定付きの契約により、「他人の車を借りて運転する」、「他人の車の運転を交代する」といった際に、保険が効かない状態になることも少なくありません。
そのようなときに「借りる車」の任意保険を1日分ずつ加入できるようにドライバーを対象にした自動車保険が「1日自動車保険」です。対象の「借りる車」とは、個人が所有する自家用乗用車(普通・小型・軽四輪)です。
2.加入できる保険会社は?
現在、1日自動車保険を扱う保険会社は、以下の3社です。
取扱保険会社
- 東京海上日動火災:「ちょいのり保険」
- 三井住友海上(MS&AD):「1DAY保険」
- あいおいニッセイ同和損保(MS&AD):「ワンデーサポーター」
先発が東京海上日動火災の「ちょいのり保険」で市場を独占した状況でしたが、2015年9月より、三井住友海上の「1DAY保険」、あいおいニッセイ同和損保の「ワンデーサポーター」の販売申し込み受付が始まり、10月1日より補償が開始されています。
なお、三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、どちらもMS&ADの損保会社ですが補償プランに違いがあります。
1日自動車保険を販売している損保3社の補償内容や特徴を表にまとめてみました。
表1:1日自動車保険の商品内容
損害保険会社 | 東京海上日動火災保険 | 三井住友海上 | あいおいニッセイ同和損保 |
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保険商品の名称 | ちょいのり保険 | 1DAY保険 | ワンデーサポーター |
保険期間の単位 | 1日毎 | 24時間毎 | 24時間毎 |
基本補償①:対人対物賠償 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
基本補償②:搭乗者傷害 | 1000万円/一時金 | 1000万円/一時金 | 1000万円/一時金 |
借用車両の復旧費用補償 | 上限300万円/免責15万円 | 上限300万円/免責15万円 /10万円(※1) | 上限300万円/免責15万円 |
車内手荷物の補償 | なし | 10万円 | なし |
保険料:基本のみ/車両付き /車両+車内手荷物補償 | 500円/1500円 /なし | 500円/1500円 /1800円 | 500円/1500円 /なし |
その他の補償とサービス | ロードサービス他 | ロードサービス他 | ロードサービス他 |
回数割引、人数割引など | なし | 2回目から/2人目から | 2回目から/2人目から |
その他の割引 | 利用回数と無事故など利用状況に応じて自動車保険の新規契約を 最大20%割引 | 利用回数と無事故など利用状況に応じて自動車保険の新規契約を 最大20%割引 | 利用回数と無事故など利用状況に応じて自動車保険の新規契約を 最大20%割引 |
※各社の保険申し込みパンフレットより抜粋(赤字は加入時の注意点)
(※1:車両免責10万円は、車内手荷物の補償プランの場合に適用されます)
補償プラン
補償プランは3タイプ
- 補償プラン1:基本補償のみ(3社共通)
- 補償プラン2:基本補償+車両復旧費用補償(3社共通)
- 補償プラン3:基本補償+車両復旧費用補償+車内手荷物の補償(三井住友海上)
基本補償と車両復旧費用補償のプランは、3社共通で取り扱っています。
車内手荷物まで補償が可能なのは、三井住友海上のみとなっており車両復旧費用補償の免責金額も10万円になります。保険会社によって販売商品が若干異なるので、必要に応じて検討して選びましょう。
補償内容と加入時の注意点
「車両復旧費用」は、任意保険の車両保険に準ずる補償ですが、上限と免責金額設定があるので、借りた車の時価額や事故の内容によって、復旧費用の自己負担額が発生することがあります。
なお「保険期間の単位」は、保険会社によって違いがあり「1日単位と24時間単位」の設定がされています。
午前0時を保険の始まりと終わりに定めている1日単位毎、開始時刻を任意で決める24時間単位毎の違いにより、付保が必要な期間によって保険料にも違いが生じます。
「車両復旧費用」と「保険期間の単位」については、関連記事の「車両保険も付けられる!短期で入れる自動車保険がある」にて詳しく解説しています。
3.加入手続きはどこでできる?
加入方法は、スマホ、または携帯電話を利用して、インターネットから各保険会社の申し込み専用サイトにアクセスして手続きします。
携帯電話の3大キャリア、「docomo、SoftBank、au」が、1日自動車保険の販売窓口にもなっています。ローソンやセブン-イレブン、パーク24グループの「Times Club」でも、1日自動車保険の販売を行っています。
また、多くのインターネット募集を行っている保険代理店のサイトを経由し、専用サイトにて申し込みすることも可能です。保険料は即時決済となり、電話料金と共に加入者に請求されます。
申し込み前の事前登録が必須!
1日自動車保険の加入には、3社共に携帯電話やスマホを利用して「事前登録」が必要です。
特に車両の補償は、事前登録後7日間の待機期間を要するため、事前登録日より8日目以降となります。
基本補償のみの場合は、事前登録後に続けて申し込み手続きを行い、保険開始が可能です。
例えば、友達の車に同乗しているときに運転する友人が病気などで運転継続が困難となった場合、運転を交代する人の携帯電話やスマホから、その場で申し込み手続きをして保険加入まで完結できます。万一に備え、基本補償だけでも即時加入できるのが心強いですね。
なお、三井海上火災では、店舗で直接申し込みできる「セブン-イレブンで入る保険」が利用できます。店舗に設置のマルチコピー機を使って店頭で申し込み手続きと支払いができるので、携帯電話やスマホを利用しなくても申し込みが可能です。
4.まとめ、1日自動車保険を選ぶポイント
1日自動車保険の基本補償プランは、1日500円で加入できます。
車両復旧費用補償付きなら1日1500円となり、各社とも補償や保険料に差がなく、ロードサービスに付随したサービスのわずかな違い程度です。
現在、三井住友海上のみ手荷物の補償付き(1800円)やセブン-イレブン店舗での申し込みを選ぶことができます。より手厚い補償を求める人や携帯電話を使わずに申し込みたい人にお勧めです。
1日自動車保険は、連続して最大7日間加入できます。
なお利用時の注意点は、事前登録が必要なこと。そして、車両復旧費用補償を付ける場合、7日以上前に事前登録を済ませることが必須です。
車を借りる人は、1日自動車保険に加入して運転しましょう。